好き好き舞城、超愛してる。
(注意)記事中に誤字や内容の誤りがあるかもしれませんが、というかたぶんありますが、ご容赦ください。処方された薬で頭がぼんやりするので。すみません。
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ここひと月で集中的に「舞城王太郎」という小説家を読んでいました。
舞城は2001年に「メフィスト賞」という賞をとってデビューした作家です。
メフィスト賞は大手出版社の講談社が主催している賞なのですが、かなりイロモノの賞なんですね。
受賞作家のうち有名な人は「清涼院流水」を筆頭に、「森博嗣」「西尾維新」「辻村深月」あたりですが、舞城はその中でも特に過激な作品を発表しています。
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そして私が読んだ舞城作品をお気に入り順に並べると、こんな感じ。
・ドリル・イン・マイ・ブレイン(短編)
・ディスコ探偵水曜日(単行本で千ページ近い大長編です!!)
・好き好き大好き超愛してる。(短編、文庫本150ページ程度で、いちばん有名)
・阿修羅ガール(中編、単行本400ページ程度)
・イキルキス(短編)
・短編五芒星(単行本300ページで、名の通り短編が五編収録されてます)
・鼻クソご飯(短編)
・夜中に井戸がやってくる(短編)
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「ドリルホール・イン・マイ・ブレイン」は、最近でなくて何年も前の中学生時代に読んだのですが、当時の私は世界がひっくり返るくらい衝撃を受けました。
主人公の村木誠は頭蓋骨に穴が開いていて(ロボトミー手術を連想しますね)、彼の恋人はなんと立派な角を持つユニコーンなんですね笑。
で、穴と突起があるので当然それを使って、セ〇〇スします。
そして主人公の母や祖父や、母の浮気相手が登場したりして、怒涛の展開があるんです。
はちゃめちゃなストーリと設定ですが、思春期の男子が抱えがちな根拠のない万能感を、比類なく真に迫まりながら描いているんですよ。
万能感っていうのは、「俺はただの中学生だが、本気出せば何でもできるぜ。」みたいなカッコつけた態度のことです。
かくいう私もひねくれたガキんちょだったので、読んで衝撃を受けたわけです笑。「これは俺のことを書いてる!!!」と共感しました笑。
「ディスコ探偵水曜日」は超大作で、「ドリル~」が可愛く思えるくらいにぶっ飛んだ作品です。
冒頭に書いた「清涼院流水」の独特の世界観の流れを汲んでます。
ネタバレは避けてあらすじを説明しますが、主人公はアメリカ人の「ディスコ・ウェンズデイ」で探偵をやっています。
そして幼女連続誘拐事件や、推理小説家殺人事件が起こり、推理が難航するうちにいつの間にか、宇宙論や時間論が出て来、どんどん訳の判らない(笑)方向に物語が進んでいくんです。
SFや文学やミステリなど、様々なジャンルを横断している作品です。
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私は舞城がとても優れた作家だと思っているのですが、舞城の極まりない長所だと思っている点がざっくり言うと二つあって、一つが「汚さを突き詰めている点」です。登場人物はたいてい、太った醜い自意識や、どす黒い性欲を持っています。ほかにも得体の知れない偽善者が登場したり、暴力シーンが無秩序に繰り返されたりします。舞城はこういったものを、汚いものとして描写することを何より重視しているのだと思います。私が思うに、(そして松浦寿輝が『クロニクル』で評しているように)「汚さ」こそが舞城文学のコアです。
もう一つが「アメリカ現代文学を積極的に取り入れている点」です。これは正直言って聞きかじっただけで、そもそも私はアメリカ文学のことをほとんど知らないのですが汗、取り入れてるらしいです。馬鹿な私にもなんとなく、舞城は村上春樹と似てるなという感じはします。村上春樹は明らかにアメリカ的なので、たぶん舞城もアメリカなんでしょう笑。
まとめになりますが、舞城は芥川賞を貰えなかったのは、芥川賞の範疇を超えてカオスな作家だったからだろうなぁ、と思います笑。